カテゴリ:ヨコクビガメ類( 40 )
幻の黒?
いよいよ師走!街は早くもクリスマスムードですねぇ。

さて、前回チラっと書いた、新規導入個体の紹介です。

種名は後回しにして、まずはご覧下さい。
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頭頂部は濃い褐色で模様の入っており、頭部下面とクッキリ色分けされてます。
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黒っぽい背甲。
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そして濃褐色の腹甲。


種名、お分かりでしょうか?



ヌマヨコクビなんです。腹甲に蝶番がないからそこは間違い無しですが、問題はその先。
亜種は何か?

胸甲板が正中でしっかり接していますから、日本にもっともよく入るタイプのエリトリア亜種ではないですね。

手足も黒いし、腹甲もみごとに褐色です。そして何より、これ。
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縁甲板の下面のシームのところに、黒い三角形の模様が入っています。

たまに黒っぽいヌマヨコがいて、ニグラか?とさわがれますが、この特徴的な三角形の模様が入っているのはみたことがありません、

頭部が黒いこととこの三角形の模様こそ、マボロシの亜種「ニグラ」ことクロヌマヨコクビ(Pelomedusa subrufa nigra)の決め手とされる特徴です。ニグラ亜種はネット上にもほとんど情報はなく、最近の書籍「Tortoises & Terrapins & Turtles of Africa(Bill Branch著)」ではその亜種は認められなくなちゃってました(Terralog Iでニグラとされた写真を使いまわしているのに...。)。
しかし、Terralogの裏表紙にP. s.nigraとして出ている頭部のアップは、このコとよく一致しています。亜種の正当性はさておき、文献でニグラと呼ばれてきたのは、まさしくこのタイプと思われます。

うちにいるボツワナ産の基亜種(P. s. subrufa)と比較してみましょう。
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左がニグラ、右がボツワナ(コケだらけなのはご容赦...)です。腹甲の色の違いは一目瞭然です。

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上がボツワナ、下がニグラです。頭部のカラーリングの違いも一目瞭然ですね。前足や頚の色も全然違います。あとニグラはチンバーベルがはっきりしていますね。

トゥルカナやアダンソンを彷彿とさせる模様の入った頭部、タマりません...!。
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珍しさは抜きにしても、こんなカッコいいヌマヨコがいたんだなと、かなり気に入っています。

実はこのコは先月名古屋に行ったときにHLで見つけて、ツバつけてたコなんです。まったくおんなじタイプがもう一匹がいました(残念ながらこちらもオスでしかも売約済でした....)。
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ウチのコはなんだか丸っこいですが、このコはゴツゴツしておそらくこちらが普通なのでしょう。しかし甲羅の形以外の特徴は全くおんなじです。したがって、ウチのコだけがタマタマの個体変異というわけではないようです。

Terralogに出ているような大型で背甲中央にグルーブが入った成体に育つのか、またクリーパーで前に安川氏が書いていたような耐寒性があるのかなど、まだまだいろいろ気になります。

さて、おまけはウチのベランダ越冬ロンギ部隊(Chelodina longicollis)、恒例の越冬前記念写真。
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今冬もがんばって頂きたいものです。

Show of the day:
Dukes of September (Donald Fagen, Michael McDonald & Boz Scaggs)
09/29/10
Greek Theatre, Los Angeles, CA
by acanthochelys | 2012-12-06 00:36 | ヨコクビガメ類
プチレプほか
先週はプチレプでした。

前夜祭はがんばったのに、当日は会場に1-2時間しかいられず、撮影したのはこのコだけでした。
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南米のエクスパンサ、オオヨコクビ(Podocnemis expansa)のベビーです!
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ウミガメと見まがう南米一の巨体に育つのに、ちょっとリーズナブル過ぎる値段だったのが逆にちょっと恐ろしかったり....(笑)。

立派に育ったコを、その前の週にHLで見ました。
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素晴らしいですねぇ〜〜。
温水プールがあったら飼いたい...、そして一緒に泳ぎたい....。

プチレプはイベントとして完全に定着したようで、お客さんは完全に「買う」気で来てたようです。

実はウチにもちょこっと出入りがあったんですが、その紹介はまた後日...。

..てな感じで、プチレプ後家に帰ると.....
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久々にマッコ(マッコードナガクビ(Chelodina mccordi)が産卵してくれました。
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産みつけられてしばらく気づいてなかったみたいで、発見時には白濁してました♪
ここしばらくダメだったんでうまく孵って欲しいなー。

おまけは、どようさんからのあずかりジーベン(Macrochelodina rugosa)。
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金魚玉をもらってご機嫌です!

Show of the day:
The Who
02/15/70
Hull City Hall, Hull, Yorkshire, England

by acanthochelys | 2012-11-25 01:56 | ヨコクビガメ類
新規と出戻り
例によってバタバタしていたら、すっかり秋ですね〜。
うちのコたちも越冬隊以外は、やっと屋内へ取り込みました。

ちょいと今更感がありますが...、
9月に東京のさとさとさんちから迎えたコを紹介します:
トゥルカナハコヨコクビ(Pelusiosn broadleyi20112012さとさとCB。
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背甲の模様は、見つめているとクラクラするような美しさ。
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お腹は黒一色になりそうですね。

さとさとさんによればこのサイズにして、同クラッチ内で尻尾が大きいコと小さいコにはっきり別れててオスとメスがだいたいわかるとのことで、メスをお願いしました。
うちの促成栽培で3年で繁殖したヤンママをみならって、今度も促成栽培したいと思います。

次は出戻りで、ボツワナ産のヌマヨコクビ(基亜種)(Pelomedusa subrufa subrufa, Botswana)。
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2007年3月うちに来た頃の様子がこちら
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2008年2月がこちら
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その後故あって手元を離れ、もらわれて行った先での2011年3月の様子がこちら
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最近故あって、ウチに出戻ってきました。
行った頃は性別不明だったのですが...、
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メスですね。色白の美人さんです。たしか同時に同産地のアダルトオスが入ってたんですが、今頃どうしているんでしょうねぇ。

おまけは、最近デジカメ変えましたってことで...、
トゥルカナハコヨコクビ(P. broadleyi)オスをマクロで撮ってみました。
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Show of the day:
The Rolling Stones
08/10/05
Phoenix Theatre, Toronto, Canada

by acanthochelys | 2012-10-23 23:34 | ヨコクビガメ類
アダンソン卵結末と、東京のトゥルカナ軍団
かなり涼しくなってきましたね。福岡はそろそろ放生会の季節です。

8月はいろいろと留守がちで、ハッチ予定日がちょうど出張に当たっていた
アダンソンの卵は、たくさん発生開始したのに孵卵方法が悪かったようで(湿度が高過ぎた?)次々とカビていき、最後に1つだけ残っていたのですが、出張からもどると
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Pelusios adansoni haching...?
予定通りハッチしたぞ♪と喜んでしばらく触らずにいましたが....、
全く動きません。よく見ると目も光が無い...。剥いてみると、やはり死んでいました。
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Pelusios adansoni dead hachling ;<
まだこんなに残った卵黄には既にウジがわいていました...。
見れば甲ズレもヒドいし、やはり孵卵条件が不適切だったんでしょうね。
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産まれても死ぬ運命のコだったと諦めました。

同じ条件で孵卵していたトゥルカナ卵は途中一つもカビることなく全部ハッチしたのに、近縁種なのにアダンソン卵はカビだらけ...、なかなか微妙なものなんですね。有精卵は10個以上とれていたので、来年こそはがんばります。

気をとりなおして....、

先日の東京出張のとき、さとさとさん宅とかめぞーさん宅へお邪魔してきました♪。さとさとさんと言えば、トゥルカナブリーダーの先輩です!

トゥルカナオス。
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Pelusios broadleyi breeding male:)
トゥルカナメス。
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Pelusios broadleyi breeding female:)
腹甲に模様が入っていてなかなか綺麗です。

トゥルカナは2ペアいました。
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Pelusios broadleyi a breeding group.

そしてトゥルカナベビー軍団の乱舞!
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Pelusios broadleyi babies! Wow!!!!
夢に見そうな素晴らしい光景ですね。

アフリカものはもう一種アダンソンもいました。
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Pelusios adansoni.
さとさとさんとこでも、これはまだ繁殖には至っていないそうです。

ライマンナガクビもコンスタントに殖えているそうです。
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Chelodina reimani babies!

ライマンベビーに混じって、どこかで見たコが...。
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Chelodina mccordi.
これは、先日の「九州ハチュもんの夕べ2012」のビンゴ1等の賞品だった、にたごろう王国CBのマッコちゃん!一時預かりで養育しているんだそうです。

ベビー以外は水槽で水を深くして濾過を回して飼っておられました。ウチではなかなかまねできないスタイルです...。

続いてかめぞーさん宅に伺いました。かめぞーさんと言えば押しも押されもせぬ、関東の有名ブリーダー。イシガメクサガメはじめ、セマルやアメハコのブリードで名高いお方です。自身で金属加工して作られたオーダーメイドの飼育容器がベランダにずらりとあり、年期を感じました(ご本人はまだ若いんですけどね)。ハッチ途中のセマルなど面白うものがいろいろ見られました。

....でも、曲頚類のみ紹介するというこのブログの偏屈ポリシー上、写真はこのコたちだけ。
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Platemys platycephala a breeding group.
プラテミスことヒラタヘビクビ。
かめぞーさんは実はプラテミス繁殖の第一人者でもあるのです!上の陸場メインのセッティングは産卵期用だそうです。
こちらが初子。
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Platemys platycephala CB.
すくすく育っていますね。

かめぞーさん、さとさとさん、それからかめぞーさんの奥様、お世話になりました。ありがとうございました。

Show of the day:
Jerry Garcia Band
02/26/93
Warfield Theater, San Francisco, CA
by acanthochelys | 2012-09-11 23:16 | ヨコクビガメ類
トゥルカナ続報
盆を過ぎたらなんだか急に涼しくなってきた気がします。夏ももう終わりと思うと、なんだかもの寂しいですね。

前回も報告したトゥルカナ(Pelusios broadleyi)のハッチは結局4匹が無事生まれました。1匹はハッチしたのに殻から出る前に死んでしまいました...。
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Hatchlings of Pelusios broadleyi.

全体で3週間ほどズレがあるのでよく見ると大きさがマチマチです。明るい色の小柄なコ(2枚目では腹甲をみせているコ)が最後にハッチしたコです。まだ卵歯がのこってますね。
最初からペレットを食べてくれるのでほんとにラクです。

驚いたのは、こんなにベビーのくせして、もうマウントごっこをするんです!!
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トゥルカナ卵は全部終了ですが、ほぼ同時期にアダンソン(Pelusios adansoni)も産んでいました。こちらは陸場に穴を掘らずに産み落としたものがほとんど。すぐに回収できずにヘシャげさせてしまったものもいくつかありました。
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Pelusios adansoni mother and her eggs.
産卵したメスはトゥルカナメスより小さいのに、卵はトゥルカナのより大きかったです。全て白濁したので、こちらも期待していたのですが、なぜかトゥルカナより発生が遅いなと思っているうちに、ほとんどの卵が汗をかきはじmて、その後汗をかいたものは全て凹んだりカビたりしてしまいました。結局2個だけ残っています。どうなることやら。

カビてブヨブヨになった卵を、未練がましくあけてみました。
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Pelusios adansoni dead embryo probably due to the temperature too high....
ここまで発生してたのに、残念無念。温度が高くなりすぎたのでしょうか。夏で温度を上げる必要がないと思い、そのままウチで孵卵していたのですが、成績を上げるためにはやはり孵卵器が必須なのでしょうね...。

気をとりなおして、最後に久々の動画です。
トゥルカナベビーのマウントごっこの様子をご覧下さい。



Show of the day
Grateful Dead
03/16/93
Capitol Centre, Landover, MD
by acanthochelys | 2012-08-16 08:51 | ヨコクビガメ類
初体験♡!
またまたすっかり間が空いて、すでに真夏ですねぇ...。

いつもは変化の乏しいウチですが、大変目出度いことがありました。
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トゥルカナハコヨコクビ(Pelusios broadleyi)の卵がハッチしたのです!

卵を回収したのは九レプの興奮冷めやらぬ6月5日でした。水中産卵で、何個かはすでに破壊されていました。ヌルヌルのブヨブヨで大変扱いにくいのですが、なんとか2個だけは無傷で回収できました。
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よく見るとすでに卵黄は沈殿していて、イイ感じでした。

その後もポロポロと水中に産みましたが、なにしろ卵が柔らかく、おそらく親の体重でへしゃげてしまうものも出てしまいます。へしゃげたものも含め、発見時はすべて卵黄は沈殿していましたが、変形した卵は白濁しなかったというのは前回書いたとおりです。

夏場なので基本的に気温にまかせていました。10日目くらいには胚が見え、20日目くらいからは胚がミッシリ育っているのが見えてきて、期待が高まっていました。

そして48日目、ついにハッチしてくれました。しかも2個とも!
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一日くらいは顔だけ出して、次に気づいたときにはすでに床材に潜り込んでいました。
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産まれたときから、トゥルカナらしく目は青いです(^^)

お約束の、「おかあさんといっしょ」。
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おかあさんはあのペルシオス研究所の2009CB、なんと弱冠3歳のヤングママです。

そしてこの子供たちは少なくとも血の半分は日本2世。
実は、ずっと以前にクレフトのハッチに失敗して以来、ウチで取れた卵はずっと王様の孵卵室頼みだったのです。なので、恥ずかしながら、ウチで無事ハッチに至ったのはこれが初!二重の喜びなのです!
回収日の違う卵があと3個、これもみなイイ感じです♪

おまけはウォレルマゲクビ(Emydura s. worrelli)の最近の様子。
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Show of the day:
Muddy Waters with the Rolling Stones
11/22/81
Checkerboard Lounge, Chicago, IL

by acanthochelys | 2012-07-25 23:57 | ヨコクビガメ類
もう一つのビクトリア
先週末はJRSで盛り上がったようですね。オブロンガやラティスなんかも密かに姿を見せてたようですが、そんな流れに一切乗ることなく暮らしております。

実は最近、前々から気になっていたコを迎えることができたんです。
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もう一つのビクトリアです。
ビクトリアはビクトリアでもアフリカンの方。
「ダーウィンの箱庭」ビクトリア湖からやってきた、
ビクトリアハコヨコクビ(Pelusios williamisi williamsi)です。

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クリイロやアダンソンに比べると、顔つきがずっとイカツくて、いわゆる悪人顔です。
吻や頬の地色はピンク色〜朱色、目の下にも明色のラインが入ってなかなかの美種だと思うのですが….。ちなみに目の下のラインは他種のPelusiosにはない本種だけの特徴です

一件クリイロにも似た背甲ですが、中央が少しつぶれた形で、やはり違います。
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数年前に一度来たきりで、その後さっぱり音沙汰がなく、やっぱり欲しかったな…と思っていたところで、ひょっこり出物がありました。

顔の赤いとこなんかは本で見るのと全く同じなので、インボイスどおり基亜種ということにしておきます。25cmほどになる種で、成長してさらなる悪人面になっても、頭部の赤みは残るようで楽しみです(参考リンク)。

今回現物を落ち着いて観察してみて気づいたのですが、この種は腹甲の前葉が非常に大きくて、背甲より前に飛び出しています。
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真横から見るとこんな感じ。
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Turtle of the world等にもそのような記述がありますが、非常に特徴的です。
そういう目で見ると他の個体の写真(コレとかコレ)も同じく腹甲前葉が前方にせりだしていますね。

こんな特徴は他のPelusios属にはない気がします。腹甲の前葉が大きいということはハコとして閉じるのに都合がいいということなのでしょう。
でもこのコは栄養がよいためか、閉じません….。

しかしこの名前はやはり間違えやすいですね。亜種全体をまとめるとウィリアムスハコヨコクビとなってカエルガメと混乱するし…。

おまけはビクトリアつながりということで、2009年に来てた方のビクトリアアカミミマゲクビ(Emydura victoria)。
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2010年に来た方の、見事に赤い図鑑通りのビクトリアにすっかり食われてしまった感がありますが、こういう”イエロータイプ”も確かにいるようです(たとえばコレ)。こちらも「もう一つのビクトリア」ってことで差別しないであげて下さいね。

Show of the day
Grateful Dead
04/06/82
The Spectrum, Philadelphia, PA
by acanthochelys | 2011-08-11 02:59 | ヨコクビガメ類
Africans Revised
今日から3月、福岡は既に梅が満開です。

最近出たアフリカ曲頸類の包括的な分子系統解析の論文を発見しました。著者には業界の有名人の名がちらほら。

これまで形態から言われていた従来のグループ分けは
  adansoniiグループ(アダンソン、トゥルカナ、ガボン、マラン、ヒメ)
  subnigerグループ(上記以外)
とか
  ガボン単独
  クロ単独
  ノコヘリ単独
  ウスグロ単独
  それ以外全て
でした。

で、今回核とミトコンドリアの合計約4kbの塩基配列比較から描かれた系統図がこちらです。
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from
Fritz U, Branch WR, Hofmeyr MD, Maran J, Prokop H, Schleicher A, Siroky P, Stuckas H, Vargas-Ramirez M, Vences M, Hundsdorfer AK. Molecular phylogeny of African hinged and helmeted terrapins (Testudines: Pelomedusidae: Pelusios and Pelomedusa). Zoologica Scripta a 2010 The Norwegian Academy of Science and Letters, 40, 2, March 2011, pp115–125.

まず
 castaneus大グループ(一応記載の最も古い種名で呼んでいくことにします)
 marani大グループ(マランのみ)
 sinuatus大グループ(ノコヘリハコヨコのみ)
 subniger大グループ(ウスグロ、オカバンゴ、ウペンバ)
の4大グループに分けられます。

次にcastaneus大グループが
  castaneus中グループ(クリイロ、チャピニ、アダンソン、トゥルカナ、ヘンゲ、セウネ、キバラ、ガボン)
  nanus中グループ(ヒメのみ)
  niger中グループ(クロ + クプラタ)
の3つの中グループに分けられます。

さらにcastaneus中グループが
   castaneus小グループ(クリイロ、チャピニ、アダンソン、トゥルカナ)
   rhodesianus小グループ(ヘンゲ、セウネ、キバラ)
   gabonensis小グループ(ガボンのみ)
の3つの小グループに分けられます。

さらにさらにcastaneus小グループ(クリイロ、チャピニ、アダンソン、トゥルカナ)が(クリイロ + チャピニ)と(アダンソン + トゥルカナ)の2群に分かれます。ただしチャピニはクリイロの変異の中におさまっているので、フルスピーシーズとするのは疑問だと書かれています。またrhodesianus小グループ(ヘンゲ、セウネ、キバラ)が(ヘンゲ + セウネ)とキバラの2群に分かれます。

という具合になかなか複雑な系統関係ですが、全体としてはなんとなく納得できるような気がします。Pelusios属全体では、アダンソンとトゥルカナの2種が最も近縁で、マランとそれ以外全てが最も遠いといった具合で、思った以上にいろいろな段階で分岐しています。かなり分岐の古いものもあるので、今後さらに属分割されたりすることもあるのかもしれません。

この論文の最大の問題点はビクトリアハコヨコ(P. williamsi)が含まれていないこと。一応系統樹には含まれていますが、クリイロの枝の中に紛れ込んでしまっていて、おそらくクリイロの同定間違いの標本からの塩基配列と思われます。もしも今後正しいビクトリアの配列が解析されたら、casteneus中グループのどこかに付くのではないかというのが、ぼくのあてずっぽな予想です。

 Pelusios属の系統関係もさることながら、Pelomedusa属の分岐の深さ(つまり枝の長さ)にも注目です。Pelomedusa属は、亜種はさておき、subrufa一種のみしか知られていません。しかしその中でのバリエーションはとても大きく、ヘンゲとセウネの種間差や、ウスグロ/オカバンゴ/ウペンバの3種間の差よりも大きいのです。ちなみに同じ著者たちが昨年出したPelomudusaの種内変異の論文でも指摘していましたが、これまで言われているような亜種分けはDNA解析からはまったく支持されず、そのかわりPelomudusaの各地域集団は、南アフリカやボツワナ、マワウイなどの南部集団(図中のIXとVIII)、紅海沿岸部の東北集団(図中のVIとVII)そして、コートジボアールからケニアに至る北部集団(図中のI〜V)の3つに大きく分けかれるようです。この3群間の違いはとても大きいので、今後種/亜種として分割されることになっていくと思われます。つまりPelomedusa属はモノタイプではなくなるということですね!

 おまけはビルの家で見せてもらった、ウペンバハコヨコクビ(Pelusios upembae)。
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Pelusios upembae from Bill McCord's collection.
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Thanks Bill!
日本未上陸の本物(笑)です。
腹甲が黒いところも全体的なプロポーションも、分子系統で最も近縁と示されたオカバンゴと確かによく似ています。

Show of the day:
Frank Zappa
10/29/76
The Spectrum,
Philadelphia, PA
by acanthochelys | 2011-03-01 18:26 | ヨコクビガメ類
世界最小の...
また随分と間が空いてしまいました。
毎日暑いっすねぇ〜。でもカメたちは皆元気です。

さてこのたび、
世界最小の曲頸類、ナヌスことヒメハコヨコクビPelusios nanusが、さる方のご尽力により、ついに我が家にもやって来ました!
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いやいやかれこれ10年以上前からナヌスナヌス寝言にように言っていたのに、夢ってかなうもんですね。
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ほんとにちっちゃいです。
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顔はちょっと犬っぽいです。
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茶色い虹彩が、黒目がちのかわいらしい顔を演出してます。
ドロガメ好きな層にもアピールできるかもですね。

ちっちゃくても立派なオス。
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いつもパタパタエサくれダンスしてます。

もちろんペレットも大好き。


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ナヌ太郎くんは花嫁募集中です♡。

おまけはベランダで絶好調のウォレルマゲクビ(Emydura s. worrelli)。
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朝はよくこうして甲羅干ししてます。赤味が増して来たように思いますがいかがでしょう?

Show of the day:
Grateful Dead
11/30/81
Hara Arena, Dayton, OH
by acanthochelys | 2010-07-21 23:00 | ヨコクビガメ類
育ち盛りたち
EVOさんのところからやって来た、トゥルカナハコヨコ1号です(Pelusios broadleyi)。何でもバリバリ食べてむくむく大きくなってます。EVOさんによりメス温度で孵卵されたコで、確かに今のところメスっぽいです。
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葉野菜やバナナなんかもあげてみると喜んで食べます。下に紹介してるオスは見向きもしないのに。性差でしょうか....。

こちらは、どようさんとこからの預かりっこトゥルカナ王子です。
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水槽が狭いからか、成長はおさまってきました。

比較するとこれくらいの感じです。
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メスはまだまだですね。

それから、これも名古屋から来たDr. Kブリードのニューギニアナガクビ(Chelodina novaeguineae)。
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大分大きくなりました。でも冷凍赤虫しか食べてくれませんが....。
腹甲の赤味はほとんど飛んでしまいましたが、頭部や頸の下面にはピンク色が残っています。
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最後は、1年前に産まれたうちの最初のマッコ(Chelodina mccordi)。
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このコもペレットに餌付いてないのであまり成長してませんが、センチな理由で手元に置いてるだけなのでのんびり育てます。

ところで、最近気付いたのですが、ラティスの南部個体群(これまでRichmond川の個体群などと呼ばれてたタイプ)をWollumbinia (Elseya) dorsiiとして分けるという論文が2009年1月に発表されていたようです(1年も気付いてませんでした...)。頭が小さい、甲羅がトゲトゲしていないなどの違いがあるとしていますが、著者はsplitterとして名高いRichard Wells、一般的には受け入れられないかもしれませんね。
http://www.calodema.com/freefiles/wells/AUSTRALIANBIODIVERSITYRECORD2009(1).pdf
Wellsはさらに1871年に「Euchelymys spinosa」として記載されたラティスの模式標本の一つも今のラティスとは別の種で、こちらはオリジナルの種名どおりW. spinosaとして保守すべきとも言っていますが、どうなるんでしょう....。

論文が出てたというだけで今後広く受け入れられるかどうかは微妙ですね。

Show of the day:
Grateful Dead
06/22/91
Soldier Field, Chicago, IL
by acanthochelys | 2010-01-29 22:47 | ヨコクビガメ類